意外に知らない地球惑星科学系学科の進路と就職先
🌎地球惑星科学科の卒業後の進路が気になる人
「地球惑星科学科を卒業したら、どんな職業に就く人が多いんだろう?大学院に進学すべきなのかな?理学部って就職難しいって言われるけど、実際どうなんだろう」
この疑問にお答えします。
🌎本記事の内容🌎
①地球惑星科学科卒業後の進路は?大学の公表データから分析
②代表的な進路の5パターンと何を学ぶべきか
この記事を書いている私は、地球惑星科学科 学士➡地球惑星科学専攻 修士を経て、外資系IT企業に就職しました。自身の経験を踏まえて、地球惑星科学科を卒業しておく前に知っておくべきことや勉強しておくべきことを紹介します。
地球惑星科学、地球科学科、地質科学科、地学科、地球環境科学科、地球惑星物理学科などを進路に考えている人の参考になれば幸いです。
地球惑星科学科卒業後の進路は?大学の公表データから分析
大学院進学率
例:九州大学理学部地球惑星科学科
大学院進学 | 就職 | 大学院院進学率 | |
2021年卒業 | 38名 | 11名 | 77.60% |
2020年卒業 | 36名 | 7名 | 83.70% |
参考: https://www.geo.kyushu-u.ac.jp/department/career/
地球惑星科学科の大学院進学人数をサイトで公表している大学があまりありませんでしたが、九州大学のデータを見る限り、大学院に進学する人がほとんどのようです。
代表的な進路の5パターンと何を学ぶべきか
大学院進学(修士課程、博士課程)
データでも見てきた通り、7-8割の学生が大学院に進学します。
ほとんどの学生が自分の大学の院に進学しますが、数名他大学に進学する人もいます。
実際、学士では地球惑星科学の専門家として見られることはあまりないため、学士就職の多くは公務員か、地学関係以外の企業で働くことになります。もし、専門を活かせる仕事がしたいのであれば、修士課程卒業を見据えて計画を立てておくべきです。
大学院に進学した後のさらに先の進路は、この2つが一般的です。
- 博士課程に進学する(体感1-2割)
- 就職する(ほとんどがこのパターン)
博士課程に進学したいのであれば、学振とよばれる奨学金制度(月20万の生活費支給をはじめとして手厚い給付金制度)に合格すると、生活が楽になります。学振では投稿論文が評価の対象になるそうです。修士課程で論文をパブリッシュできるように、学部レベルでの専門科目の理解は必須です。
例えば、数学でいうと線形代数学・微分積分学は最低限必要。
専門科目の地球惑星科学は網羅的に学んでおいた方が良いです。
下の参考書が有名です。
公務員(省庁などの国家公務員、県庁などの地方公務員)
大学院に進学する人の次に多いのが公務員かと思います。その中でも、気象庁職員になる人が圧倒的に多い印象です。
気象庁とはいっても天気のことだけをやっているわけではなく、地震や火山などの災害対応も含むため、地球惑星科学分野の学生から人気が高いです。
省庁系の国家公務員になるためには、国家公務員試験に合格する必要があります。公務員を受ける人は、教養試験、専門試験(一般職では物理・総合試験では数理科学・物理・地球科学を選択するのが一般的)の対策に励みます。
余談:地惑で国家総合職試験を受けると、専門試験対策の参考書がほぼなくて困ります..
代わりに多くの人が「工学の基礎」の参考書で対策することになります。少しでも興味がある人は現時点で解けるかどうか確かめておくとよいです。
また、県庁に就職する人も一定数おり、地元志向で出身県に帰りたい人などは県庁でのお仕事も候補です。県庁の技術職だけでなく、行政職で就職する人も多くいます。
運がよければジオパーク担当になることができますが、公務員は異動があるのでずっとはこの分野に携わることはできないことが多いです。
教員や予備校講師
教職になる人も多く、教員免許は理学部で人気のある資格の1つです。
ただ、地学の教員の採用が少ないため、地球物理の専門であれば物理、古環境・化石の専門であれば生物などというように、地学以外で教員になる人が多いです。
理学部で教員免許を取るのは、なかなか大変です。学科での授業単位に加えて教職の単位も揃えなければならないため、1限と5限に授業が入ります。大学3年時か4年時に2-3週間ほど教育実習に行く必要があります。
私自身は高校理科の教員免許を取得しました。私は運よく教育実習でも地学を担当させていただきましたが、自分以外は地学以外の理科3科目のどれかを教えたそうです。
【後悔しないために】 地球惑星科学科に入学したら絶対にやるべき3つのこと 【大学学部生向け】
地学系の学科で教員免許を取るのは大変ではあるのですが、取得しておくと安心の資格でもあります。
IT企業
私は修士卒ですがこのタイプです。地球物理→外資系IT企業
地球惑星科学の学生でも、データ解析やシュミレーションの研究を行うと、プログラミングができるようになるのでIT企業に就職する人も一定数います。(ただし、使用する言語はFortranなど古いことがあるので、就職後に学び直しが必要です。)
日系企業であれば、学校推薦をもっているところもあるでしょう。公務員になるよりもスキルを身につけることができ、給与にも恵まれる場合も多いですが、地学が活きる機会はあまりありません。
ただ、企業としては理学部で論理的思考力を磨いてきた人材を欲しがっており、大いにチャンスはあります。
エネルギー関連企業
民間企業にして、地球科学要素が高い職業の1つです。石油系企業(JAPEX, INPEXなど)は、年収も高く、専門を活かしながら高待遇(でタフな業務)で働くことができるので、目指す人多いです。
地震・火山学、岩石学、鉱物学など幅広い分野から入社します。研究で成果を出し、それを面接で伝えることができるかどうかが合否の分かれ目となりそうです。
まとめ
地球惑星科学科の大学院進学率は70-80%と高い。
進路の代表的パターン
- 公務員(省庁などの国家公務員、県庁などの地方公務員)
- 教員や予備校講師
- IT企業
- 大学院進学
- エネルギー関連企業
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「地球惑星科学系の学生だけど、卒業後の進路に悩んでる」
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こんな悩みを抱えている方へ向けて執筆しました。
この分野には情報が少なく、私も卒業後の進路については大きな不安を抱えていたので、気持ちがすごくわかります。
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